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医療関係者へ

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概要

筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)は、筋肉が原因となって痛みやしびれを引き起こす病気です。

発症までの経緯・症状

筋肉に対する過負荷により筋肉内部に微小損傷が発生します。通常、この微小損傷は数日で自己回復しますが、自己回復できなかった場合に、その微小損傷が筋肉に痙攣(けいれん)を発生させ、筋肉が収縮、硬直をしてゆき痛みが発生します。
この状態になった筋肉の中には「筋硬結(きんこうけつ)」又は「索状硬結(さくじょうこうけつ」と呼ばれる部位が発生します。これらの中に物理的に力を加えると痛みを強く感じる圧痛点が認められ、その中でも特に周辺を含めた広範囲に痛みを発生させる圧痛点を発痛点(トリガーポイント)と呼びます。
この発痛点が広範囲に痛みを発生させる原因になっています。

治療及び経過

この病気の治療においては、早期の治療により痛みを取り除く事が必要とされています。
痛みの状態が急性痛から慢性痛に移行をすると、心身症の側面が現れ、ワインドアップ現象、中枢系感作、痛みの可塑性などの影響により脳が痛みに過敏になるなど、難治性の病気へ進行する可能性が高くなります。

メカニズム

筋膜性疼痛症候群(MPS)により発生する疼痛のメカニズムは以下のように考えられています。

圧痛点、トリガーポイントの発生

筋肉に筋硬結が発生すると、その部分の血流が阻害されその部位が酸素欠乏になります。酸素欠乏が起きると血液中の血漿からブラジキニンなどの発痛物質が生成されて、それが知覚神経(C線維)の先端にあるポリモーダル受容器に取り込まれて痛みを感じます。
このような症状が発生して物理的に圧力を加えると痛みを感じる点を圧痛点と呼び、その中で以下に記載をする働きにより、物理的に圧力を加えると広範囲に痛みを感じる点を発痛点(トリガーポイント)と呼びます。

反射

筋膜性疼痛症候群(MPS)では、発痛点(トリガーポイント)などからの痛みを捉えた脳、脊髄が、反射により交感神経を働かせて、さらにトリガーポイント部及び周辺の筋肉の血管収縮を行わせることにより、再び酸素欠乏が発生し再び発痛物質が生成されるという悪循環が発生します。
これが、広範囲で疼痛が広がる筋膜性疼痛症候群(MPS)のメカニズムと考えられています。

除外診断

原則として以下の疾患は筋膜性疼痛症候群(MPS)から除外する必要がありますが、筋膜性疼痛症候群(MPS)を合併していてる場合もあります。
○悪性腫瘍
○感染症
○骨折など明らかな損傷
リウマチ周辺の炎症性疾患(痛風、脊椎関節炎など)

治療

根本的な治療法は筋肉内の圧痛点、発痛点(トリガーポイント)の筋硬結を解くことです。筋硬結部で発生をしている血流の悪さによる酸素欠乏状態を解く事により、ブラジキニン等の発痛物質の発生を止めます。筋硬結部位での痛みを解く事により脳、脊髄による反射によって発生した関連痛も解く事ができます。

治療方法

筋硬結を解くために用いられている主な治療方法は以下の通りです。

トリガーポイントブロック注射

27ゲージ,19mm又は38mmなどの注射針を使い、0.5%塩酸メピバカインなどの局所麻酔剤を圧痛点、発痛点(トリガーポイント)へ注入します。

ストレッチング

筋肉を伸ばす治療です。単独では効果薄いですが、トリガーポイントブロック注射やトリガーポイント鍼療法と併用することで効果が増します。

慢性痛の場合

痛みの状態が慢性痛へ移行をして心身症的要因が強い場合には、症状に応じた医薬品の投与、認知療法、認知行動療法などを用いる場合もあります。

 

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